私たちが考えた暖房設備の選択肢

24時間連続換気をしている高断熱・高気密の住宅では、冷暖房は部屋ごとではなく、建物全体で考えた方が効率的・経済的であると言われている。以下は、仙台に住む私たちが考えた暖房設備の選択肢である。FF式や温水式送風暖房器が最初から選択肢に入っていないのは、基本的に、乾燥を助長する送風による暖房が好きで無いためである。

「雪がそう積もるわけでは無い仙台でそれほどこだわらなくとも」と良く言われるが、4年前にバイエルンの田舎町から仙台に移ってきた時に、私たちが閉口したのは気候の厳しさではなく、部屋の中の寒さと空気の悪さであった。「多少暖房にお金をかけてでも、冬でも自由な生活をしたい」と思うのは、「寒さで自由に外出ができず、行動が制限される冬だからこそ、住居の中では自由に過ごす」というライフスタイルを一度経験してしまったからかもしれない。

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  • 蓄熱式暖房機

 蓄熱材として耐火煉瓦を使い、タイマーで深夜電力割引時間帯(23:00-7:00 or 22:00-8:00)に通電し、夜まで蓄えた熱を使って家全体を暖める。イニシャルコストを下げるために、部屋ごとにオイルヒーターを置いて、タイマーを使って同じ原理で寒さをしのぐことも可能だがやはり限界がある。
pro:  深夜電力を使うので経済的。
pro:  輻射熱を使うので埃もたたないし、やわらかな暖かみを享受することが出来る。
contra: 耐火煉瓦を蓄熱材として使うため、100kgを越えるものがほとんどで、取り付けには床材補強が必要になる。
contra: 現場で煉瓦を組み入れることになるため、設備費の他に工事費が結構かかる。
contra: 慣れてしまえば問題ないらしいが、残熱を使って暖房するため、温度調節の仕方が微妙である。
contra: 各部屋ごとの温度調節ができない。

蓄暖については、「うなぎの寝床」が大変参考になる。スティーベル社のHPに製品一覧がある。

  • 床暖房

pro: 場所をとらない。
pro(contra): 足下が暖かい(部屋全体が暖かければ、足下を暖かくする必要は全くなく、かえって不自然である)。
contra: 窓(開口部)からのコールドドラフト(冷輻射)への対策が出来ない。
contra: 畳の下に通すと畳の傷みが激しい。
contra: 「健康に良い」というのが通説だが、建物(壁)全体があたたまらず頭の先と足の先付近で室内温度が違ってくるため、不自然な室内気候になる。

  • 温水式パネルヒーター

pro:  輻射熱による暖房のため埃が立たず、建物(壁)全体を暖めることが出来る。
pro:  熱損失が大きい玄関や窓の下や脇に縦型パネルをとりつけるため、開口部からの冷輻射を打ち消すことになり、室内気候を自然に保つことが出来る。
pro:  パネルに取り付けてあるつまみで、各部屋ごとに微妙な温度調節が可能。
pro:  リビングにある電子制御装置で曜日ごとに自動的にボイラーをon/offし、家全体を計画的に暖めることが出来る。
pro:  2週間先のプログラムも可能なので、旅行に出た場合でも、前の晩から建物を暖めておくことも可能。
pro:  会社によっては、窓や壁の大きさ、壁紙や床の色に合わせてオーダーできる。
pro:  タオルかけやコートかけのタイプもあるので、玄関や洗面所など、場所によっては、スペースの有効利用が出来る。
contra: ボイラー設置と各部屋への配管・パネル設置が必要になるため、費用はそれなりにかかる。
contra: 材質によっては窓下などに家具をおけなくなる場合もあるので、どこにどのような家具を設置するかを予めきちんと考えておくことが必要となる。

  • エアコン

contra: 空気を暖めるので、24時間連続換気をしている住宅では省エネ的観点から言って不利。
contra: 送風が冬場の乾燥を助長する。
pro: 秋口に補助的に使用するのには有効だと思われる。
Fazit: 冬の暖房にエアコンをメインに用いるのは省エネ的観点から言っても得策ではない。

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